双極性障害(躁うつ病)
ツイッターを始めてから精神病と向き合ってる方を中心にフォローさせていただきました。
中でも双極性障害を持っている方が多い印象を受けました。
そこからこの病気を知り、調べて自分が見やすいようにまとめたのが下記になります。
気分障害とは気分の上がり下がりが主な症状となる疾患です。
その中にはうつ病や双極性障害がふくまれており、
厚生労働省も「一生のうちに、うつ病になる頻度は約15人に1人と考えられている」とデータをあげているように、決して珍しい疾患ではありません。
気分障害の症状や原因、相談先や治療法を詳しく説明します。
よくわかる双極性障害(躁うつ病) [ 貝谷久宣 ]
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気分障害とは…
気分障害とは常に気分が落ち込んだり、逆に高まることで日常生活に様々な支障をきたしてしまう心の病気です。
この障害名は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)により定められています。
気分障害とは気分に関する障害がある病状・疾患を一群としてまとめたものをさしますが、主に以下が含まれます。
「エピソード」とは、症状が現れている状態であるということを表す用語です。
上記の分類に当てはまらない場合は、その他の気分障害や特定不能の気分障害と診断されます。
人は生活を送っていると少なからず嬉しいことや悲しい出来事に直面しますが、
その際に気分が上がったり、気分が落ち込んだりしてしまうことは当たり前のことです。
しかしこのように発生した感情を、自分でコントロールできなくなることがあります。
こうした状態が一定期間以上続いて仕事や私生活など普段の生活に支障がでている場合は、気分障害の可能性があります。
気分障害の種類と症状 …
■ うつ病エピソード
症状としては
- 通常なら快楽を感じる活動に対して興味または喜びを感じなくなる
- 喜怒哀楽などの感情の変化が顕著に無くなってしまう
- 通常より2時間以上早く起床する
- 重度の抑うつ気分が午前中に現れる
- 食欲が激しく低下する
- 体重の減少
- 様々な欲求への著しい減退
現れる症状は人それぞれですが、
『ICD-10』によるとこれらの症状のうち4つ以上の症状が2週間以上つづくとうつ病の基準を満たしていると診断されます。
また、うつ病が重症になると妄想の症状が出ます。
■ 躁(そう)病エピソード
躁病の症状としては
- 活動的になる
- 口数が多くなる
- 注意不足、集中力低下によるミスが増える
- 睡眠欲求の低下
- 性的欲求が高まる
- リスクを考えない浪費や無謀な運転などの常識をはずれた行動を起こす
- 社交的になる、または過度に馴れ馴れしくなる
『ICD-10』によると躁病の診断には上記の症状のうち3つの症状が4日以上持続していること、
日常生活に本人が感じる程度のトラブルを起こしてしまっていることが条件となります。
■ 反復性うつ病性障害
うつ病エピソードのみを2週間以上継続し、2回以上繰り返すと反復性うつ病性障害と診断されます。
反復していると診断される基準として、先述したうつ病を発症した後2ヶ月以上同じような症状が現れない期間が存在することがあげられます。
反復性うつ病性障害の一例として季節性感情障害が挙げられます。
季節性感情障害とは主に秋から冬にかけて抑うつ状態となり春には症状が改善するなど、
抑うつ症状になる期間と回復する期間の転換が1年のうちの特定の時期に起こる疾患です。
双極性障害とは一般的に躁うつ病と呼ばれる疾患です。
双極性障害はうつ病エピソードと躁病エピソード両方を反復する場合、基準に当てはまると診断されます。
初めのエピソードを発症してから次のエピソード発症するまで平均5年程度かかるといわれますが、
エピソードを繰り返すごとに再発までの期間は短くなり、一つ一つのエピソードの継続期間はながくなるといわれています。
躁病エピソードは急に発症することが多く、2週間から5か月程度持続します。
一方うつ病エピソードは徐々に発症し、躁病エピソードに比べて発症期間が長い傾向にあります。
双極性障害によって気分が高揚し、
いらいらしたり注意散漫になったり誇大的になったりするなど対人関係などにも様々な障害を引き起こすことがあります。
双極性障害は再発率が高いと同時に、
自殺をしてしまう確率が精神障害の中で最も高い精神疾患の一つといわれています。
■ 持続性気分障害
主に気分循環症・気分変調症をまとめて指す疾患です。
躁病やうつ病の症状は当てはまらないけれど、明らかに気分が変わっていることが分かる状態をさします。
■気分循環症
通常は成人早期までに発症する双極性障害の軽症型です。
うつ病エピソードと双極性障害の症状すべての条件を満たさない程度で、
数日単位で落ち込んでいる状態と気分が良い状態が不規則に反復する期間が2年間以上続きます。
気分循環症の症状としては、うつ病期間と気分高揚期間にそれぞれ3つ以上の症状が当てはまることが条件となります。
うつ病期間:
- エネルギーあるいは活動性の低下
- 自信が急に無くなるなどの自己評価の激しい変化
- 不眠
- 集中ができなくなる
- 引っ込み思案になり、社会からひきこもる
- 欲求の低下、喜びの感情の喪失
- 口数が少なくなる
気分高揚期間:
- エネルギーがありあまり、活動性が高くなる
- 睡眠欲求がなくなる
- 自己評価が過大になる
- 頭の働きがとてもよくなる
- 社交的になり、人付き合いがとてもよくなる
- 口数が多くなる
- 欲求を追い求めるようになる
- 過剰に楽観的になったり、過去に成し遂げたことに対して過大評価をしてしまう
軽うつエピソードが優位の抑うつ型、軽うつエピソードと軽躁(そう)エピソードが同じ頻度で出現する定型的な気分循環症、
軽躁(そう)エピソード優位の軽躁型の3つのパターンがあります。
■気分変調症
うつ病の診断基準を満たさない程度の軽度の抑うつ状態が2年以上持続する疾患です。
うつ病と違い比較的短期間であれば気分が落ち込まない正常な期間が存在しても診断内容に影響がないと言われています。
気分変調症の症状としては、気分循環症のうつ病期間に発症する症状に加えて
- 涙もろい
- 物事に対して絶望感を感じる
- 日常生活でこなさなければいけない課題を対処しきれないという考えに陥る
- 将来や過去の出来事に対して考え込んでしまう
上記のような症状を発症します。
これらの症状のうち3つ以上が当てはまると気分変調症を発症していると診断されます。
持続性気分障害を発症している人自身は無気力感や気分の大きな落ち込みを感じていますが、
社会的・職業的にはトラブルが発生していない場合が多いです。
そのため本人も周囲の人も疾患を発症していると認識できず、本人は不調をそのままにしてしまう傾向があります。
気分障害を発症しやすい年齢 …
うつ病はいかなる年齢においても発症しますが、発症率は思春期以降に大きく増加します。
平均発症年齢は20歳代ですが、高齢者になって初めて発症する人も少なくはありません。
厚生労働省研究班のデータによると、日本においては
「一生のうちにうつ病になる頻度は約15人に1人と考えられている」とされています。
女性のほうがかかりやすく、有病率は男性の1.5倍~3倍であると言われています。
これは女性ホルモンの増加、妊娠、出産など女性に特有のトラブルが多いことが原因の一つであると考えられています。
■ 双極性障害
双極性障害の発症年齢をみてみますと、
15~19歳が最も多く、20~24歳がそれについで多く、それ以上では50歳以上も稀にあると言われます。
発症平均年齢は30歳と言われています。
5、6歳くらいの子どもについても双極性障害の発症が認められていますが、
ADHD(注意欠陥・多動性障害)との識別が難しく、まだ研究が進められている段階です。
■ 持続性気分障害
気分循環性障害は通常青年期または成人期早期に始まる疾患です。
性別関係なく発症すると言われており、子どもの気分循環性障害では症状発症の平均年齢は6.5歳です。
気分循環性障害がある人が双極性障害を発症する可能性は15~50パーセントです。
気分変調症は小児期、青年期、あるいは成人期早期に発症し、慢性化する場合が多いです。
気分障害の原因…
気分障害が発症してしまう理由として
遺伝子、ストレス、環境、性格などの様々な要因が複雑にかかわりあっていることが挙げられます。
主な要因は抑うつ症状の強いうつ病・気分変調症、
もしくは躁うつ症状がでる双極性障害・気分循環性障害のどちらかによって異なります。
しかしまだはっきりとした原因は解明されておらず、今後更なる研究が必要とされています。
■ うつ病・気分変調症
うつ病・気分変調症は主に性格、ストレス、生物学的要因が大きく関与しているといわれています。
かつてはうつ病や気分変調症は性格や遺伝の問題であるとされていましたが、
近年患者数が急増するとともに研究が進み、性格や遺伝の問題だけではないことが徐々にわかってきました。
近年ではストレスや生物学的要因がうつ病に深く関与していると多く言われています。
■性格
主にきまじめな性格や社交的な反面気が弱い性格の人がうつ病になりやすいと言われています。
熱心に仕事に打ち込み、責任感が強くすべてのことに対して正直に取り組む人や、
親しみやすくいい人として周囲からは見られるが、実は気が弱いために他者を優先させてしまう一面を持つ人が例として挙げられます。
■ストレス
近親者の死亡、病気、家庭内のトラブル、出産、結婚・離婚、
会社の人事異動や転勤、仕事上のトラブル、過労などさまざまなストレスがうつ病の発症の大きな誘因となっているという研究結果が出ています。
■生物学的要因
上記の性格やストレス要因が当てはまる人のなかで、
うつ病を発症する人としない人の違いは主に生物学的要因にある傾向があります。
脳の中で重要な情報伝達の働きをしているセロトニンやドーパミンなどの異常が、
うつ病の発症と深く関わっているのではないかという有力な説もあります。
■ 双極性障害・気分循環性障害
双極性障害・気分循環性障害の発症要因と考えられるものは
遺伝子、ストレス、性格、生物学的要因で、もっとも深く関与していると言われているのが遺伝子です。
- 遺伝子
双極性障害は同じ家系に発症する確率が高いことから、何らかの遺伝子が発症にかかわっているのではないかと指摘されています。
しかし、ある特定の遺伝子ではなく、いくつかの遺伝子の組み合わせによって発症するのではないかと推測されています。
- ストレス
身の周りで起こることを本人がストレスに感じてしまうことも大きな原因の一つであると言われています。
例として結婚や引っ越し、出産などのライフイベントに対する受け止め方や重なり具合、職場の人間関係などが挙げられます。
このような生活環境の変化がストレスとなり、
こころの安定の成分をつかさどるセロトニンに影響がでてしまったり、様々な支障が発生します。
- 性格
うつ病・気分変調症を発症する人と違い、双極性障害・気分循環性障害を発症する人は社交的で明るい、ユーモアのある性格という傾向があります。
このような性格を一般的に循環気質と表現します。
気配りも上手で、常に周囲の人の中心的役割を果たしていますが、
気分が高揚しているときと沈み込んでいるときが周期的に訪れるため、
状況に応じながら気分や思考がポジティブになったり、ネガティブになったり変化します。
しかし、現在では循環気質の性格だけではなく様々な気質の人も発症することが分かっており、
執着気質がその一つです。執着気質とは一つのことにたいして徹底的に自分を追い込む頑張り屋さんのような人です。
「疲れてなんかいない」といって自分自身を鼓舞し、
さらに頑張り過ぎることを継続することで双極性障害を知らない間に発症している場合があります。
- 生物学的要因
近年双極性障害には生物学的要因もあることが明らかになってきています。
それは、脳細胞内にあるミトコンドリアの機能異常です。
ミトコンドリアはエネルギー物質を生産する働きの他に、
情報伝達にかかわるカルシウムの濃度を調整する機能をもつ物質です。
ミトコンドリアの異常によってカルシウム濃度の調整がうまく行われなくなると細胞内の情報がうまく伝わらず、
双極性障害の発症を誘因するものと考えらます。
しかし双極性障害は発症する確率も低くはっきりとした原因はまだ解明されていません。
研究が今後進んでいくことが期待されます。
気分障害の相談先と治療先…
- 児童相談所
- 全国精神保健福祉センター
- 精神科
双極性障害(躁うつ病)のことがよくわかる本 [ 野村総一郎 ]
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↓参考にしたサイト↓
気分障害(うつ病・双極性障害)とは?「感情がコントロールできない」症状や原因、診断基準を説明します | LITALICO(りたりこ)発達ナビ
(記事引用)